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2024年03月08日

人間中心のケアはHIV感染者の血圧のコントロールを改善する
Person-centred care improves blood pressure control in people with HIV

写真
Dr Chris Longenecker at CROI 2024. Photo by Roger Pebody.

CROI 2024で発表された3つの試験で、革新的なサービスモデルにより、HIV診療所やコミュニティ・ヘルス・ワーカーを通じてHIV感染者に高血圧治療の提供ができ、血圧を低下できることが示された

HIV感染者は、それ以外の人々よりも心血管リスクが高いことを示すエビデンスがあるにもかかわらず、HIV感染者ではコレステロールや高血圧などのリスク因子の治療は依然として十分ではない。

EXTRA-CVD試験では、University of WashingtonのChris Longenecker医師らが、高血圧やコレステロール値の上昇に対処する介入を、これらの疾患に対するケアの障壁に関する研究に基づいて考案した

この試験はOhio州とNorth Carolina州で実施された。高血圧およびコレステロール値の上昇を有するHIV感染者297名を、家庭血圧モニタリングを行う看護師主導のケア群、または予防教育と標準的なケア群のいずれかに無作為に割り付けた。看護師は介入群の参加者と2ヵ月ごとに面談した。

参加者の年齢中央値は59歳、男性79%、黒人59%、収縮期血圧の中央値は135 mmHg、非HDLコレステロール中央値は139 mg/dLであった。

1年後、介入群の血圧は対照群と比較して4.2 mmHg低かった。介入群は、血圧治療の目標値である130/80 mmHg未満に達する可能性が約3倍高かった。

介入群では、非HDLコレステロール0.4 mmol(16 mg/dL)低下し、非HDLコレステロールの目標値130 mg/dL未満(心血管疾患リスクが高い場合は100 mg/dL未満)を達成する可能性が7倍であった。

SEARCH Consortium試験では、ケニアとウガンダの研究者らが、コミュニティ・ヘルス・ワーカーが重度の高血圧を管理できるかどうかを調べた。彼らは、コミュニティ・ヘルス・ワーカーの家庭訪問および臨床医による遠隔診療の管理と、診療所での管理を比較した。

重度の高血圧(160/100 mmHg)は、心血管イベントのリスクを上昇させる。急性型の高血圧(180/110以上)では、腎障害、脳卒中、眼の血管損傷を引き起こす可能性がある。

この試験では、重度または140/90 mmHgを超える持続性の高血圧の40歳超の200名が無作為化された。参加者の年齢中央値は62歳、女性70%、HIV感染者14%、25%が血圧180/110 mmHgを超えていた。

24週目で、介入群77%と対照群51%が血圧コントロール(血圧140/90未満)を達成していた。48週目までに、介入群86%と対照群44%が血圧コントロールを達成した。

3つ目の試験で、ニューヨークのWeill Cornell MedicineのLily Yan医師とハイチのGHESKIOの研究者らは、高血圧前症のHIV感染者250名を対象に無作為化試験を実施した。

高血圧前症(収縮期血圧120 ~139 mmHg、拡張期血圧80 ~89 mmHg )は通常治療されることはない。しかし、2021年のメタアナリシスでは、高血圧前症の人でも収縮期血圧5 mmHgの減少が、主要心血管イベントリスクが10%低下することが明らかになった。

この試験では、即時治療群と血圧が140/90 mmHgに達するまで治療を延期した群を比較した。12ヵ月後、即時治療群では収縮期血圧が10 mmHg、拡張期血圧が8 mmHg低下していた。また、平均血圧は両測定値で、延期群より5 mmHg低かった。12ヵ月後に血圧コントロールを達成する可能性は、即時治療群は治療延期群に比べて59%高かった。

記者会見では、発表者3名全員が、HIVのプライマリーケアに血圧管理を組み入れることと、血圧専門医に紹介するのではなく、HIV感染者の既存のケアパターンに基づくモデルを構築することの重要性を強調した。

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本記事は日本国外の治療に関するニュースであり、本邦では承認されていない薬剤あるいは本邦とは異なる効能・効果、用法・用量で使用されている成績が含まれていますので、ご注意下さい。
記載されている医薬品のご使用にあたっては、必ず各薬剤の製品添付文書をご参照下さい。

This material is based on an original copyright publication by NAM Publications, an independent HIV information charity based in the UK. Permission for this adaptation has been granted by NAM. The original publication can be viewed at www.aidsmap.com. NAM cannot be held responsible for the accuracy of the adaptation nor the local relevance of the text.

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